小学部だより

小学部だより 2025年冬休み号

小学部だより

〜天使チヲバラニ


いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ。(ルカによる福音書2章14節)

マンナカ山のてっぺんに、ユレルという女の子が住んでいました。ユレルは、心の優しい素直な女の子でしたが、生まれつき他の子たちとは少し違っていました。ユレルの身体には、頭の先から、おでこ、鼻、口、顎、胸、お腹…とそれから背中まで、身体の真ん中に黒い斑点のようなホクロがついていたのです。

ユレルの生まれた家はマンナカ山という山の頂上にあって、そのマンナカ山はちょうど、青い国と赤い国の境目、すなわち国と国の国境が通っている場所でした。黒い斑点を心配した両親は、赤ん坊のユレルを病院へ連れて行きましたが、お医者さまは、「ユレルちゃんの黒い斑点の原因はきっとその国境の線のせいだろう…」とおっしゃるのでした。大きくなったユレルは、自分の顔や身体に点々と黒い斑点がついているのが、恥ずかしくて、みんなにジロジロみられているような気がして、悲しくなりました。だからユレルは毎晩、神様にお祈りしたのです。「神さま、どうか私のこの黒い斑点を消してください。こんなの恥ずかしい、取ってください。」でも、ユレルの願いは叶えられませんでした。

お母さんはかわいそうなユレルにこう言って謝るのです。『ごめんね、ユレル、国境の黒い点線がおまえにしみついてしまったんだよ。』目にはみえないけれど、黒い点線は野にも山にも海にもひかれています。ほんとかなと思う人は地図をみてください。確かに点線はあるでしょう。おまけに国にはいろんな色がついています。草の色も空の色も世界中おんなじなのにへんですね。そのうち、マンナカ山のこっち側の青の国とあっち側の赤の国とが戦争を始めました。マンナカ山のてっぺんで国境が引かれていましたが目には見えないので、青い国と赤い国がこの山はどっちのものかと言い出し、取り合いになって、戦争が始まったのでした。相手の国が間違っている。戦争はしたくないがしかたがない。正義と平和のために戦うのだ。まったくわけのわからないことを言っていました。多くの人たちが戦争で大怪我をし、血を流し、死んでいきました。ユレルは悲しみます。身体が黒い斑点で半分にわかれているユレルは、両方の国が同じように好きだったのです。ユレルは戦争をやめさせてくださいと祈ります。そのお祈りは毎日、毎日続きました。するとある夜、天使が現れます。「戦争をやめさせてください。戦争を終わらせるためにはどうすればいいのですか?」とユレルが天使に尋ねると、「私の名前を百度呼びなさい。」と天使は言います。そして名前を教えます。「わたしの名前はチヲバラニ!」ユレルは「チヲバラニ!」と叫びながら山をおりて、青い国と赤い国を駆け回り、百度「チヲバラニ!」と繰り返しました。すると、傷ついた兵隊の身体から流れていた血がみるみる固まって美しいバラの花になりました。そしてたちまち流れる血も、大砲の弾もバラの花になりました。こうして戦争が終わりました。次の年、「バラ祭り」が催され、ユレルがバラの女王に選ばれました。その時、ユレルの黒い斑点、ホクロは消えていったのでした。

どうして、ユレルの黒い斑点は消えたのでしょうか。ユレルの祈りは自分のためのお祈りではなく、戦争のせいで苦しんでいる二つの国の人たちのためでした。誰かのためにお祈りする、その祈りを聞いて、神さまはユレルのもとへ天使チヲバラニを送ってくださったのでした。

 

このお話はやなせたかし氏の『十二の真珠』に収録されている『天使チヲバラニ』という作品です。もうすぐやってくるクリスマス。クリスマスは神さまが私たちのためにこの世に与えてくださったイエスさまのお誕生日です。クリスマスはプレゼントがもらえて、ご馳走やケーキが食べられる、幸せな日ですが、この日は自分のためだけではなく、誰かのためにお祈りする日だということも覚えておきたいと思います。

 

小学部長 𠮷田太郎


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