小学部だより

小学部だより 2026年6月号

小学部だより

〜幸福と寛容


互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。

(コロサイの信徒への手紙3:13)

少し前になりますが「世界幸福度ランキング2026」(World Happiness Report 2026)が発表されました。今回の調査では、日本は61位という結果であったことが報じられました。かつては40位台に位置していた日本ですが、この数年で順位を下げ続けています。幸福度は、単なる経済的豊かさだけではなく、「人とのつながり」「社会への信頼」「人生の自由度」「支え合い」など、多面的な観点から測られていると言われます。もちろん、幸福を順位だけで語ることはできません。しかし、この結果には、現代社会に生きる私たちの「心の状態」が映し出されているようにも思います。

近年、日本社会では「生きづらさ」がしばしば語られるようになりました。その背景には、将来への不安や経済的課題だけではなく、人と人との関係性の変化もあるのではないでしょうか。順位を下げた主な要因を分析しますと、特に注目すべき項目に、「寛容度」の低下が挙げられました。世界幸福度調査では、「困っている人を助けようとするか」「他者を信頼できるか」「異なる立場の人を受け入れられるか」といった“社会の寛容さ”も重要な指標となっています。日本はこの分野で必ずしも高い評価を受けていないと言われます。欧米、特にキリスト教圏の国々ではdonation(寄付)の文化がある一定の割合で社会に根付いており、そこが大きな違いであるという評論家の意見もありました。確かに私たちの社会には、知らず知らずのうちに「失敗を許さない空気」や、「人を厳しく評価する空気」が広がっているように感じることがあります。SNSでは強い言葉が飛び交い、誰かを批判する声が瞬く間に広がっていきます。大人社会のそのような緊張感は、子どもたちにも少なからず影響を与えています。しかし、本来、教育とは「競争に勝つ力」だけを育てるものではありません。東洋英和女学院小学部が大切にしたいのは、「他者と共に生きる力」です。「友だちの失敗を笑わずに受け止めること。」「自分と異なる考えに耳を傾けること。」「弱い立場の人に自然に手を差し伸べられること。」そして、「自分自身の弱さも認められること。」そのような「寛容さ」は、人間が幸せに生きていくために欠かすことのできない力なのだと思います。

聖書には、「互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じようにしなさい。」(コロサイの信徒への手紙3章13節)という言葉があります。キリスト教教育の根底には、「人は誰も完全ではない」という理解があります。だからこそ、人を裁くのではなく、赦し合いながら、支え合いながら生きていくことが大切にされるのです。子どもたちは、本来、とても豊かな寛容さを持っています。けんかをしても翌日にはまた一緒に遊び、違いを超えて友だちになっていきます。その姿に、私たち大人が学ばされることも少なくありません。一方で、現代の子どもたちは、幼い頃から「評価」にさらされています。点数、順位、習い事、受験……。知らず知らずのうちに、「失敗してはいけない」「人より優れていなければならない」という感覚を抱きやすい社会の中に生きています。だからこそ学校は、「ありのままのあなたが大切なのですよ」と伝え続ける場所でありたいと思います。「幸福」とは、何かを多く持つことだけではありません。安心して自分らしくいられること。誰かとつながっていると感じられること。そして、自分も他者も大切にできること。その中に、本当の「幸福」は育まれていくのではないでしょうか。世界では今も、分断や対立、暴力による悲しい出来事が続いています。そのような時代だからこそ、東洋英和は、平和を実現する人を育てる学校でありたいと願っています。寛容とは、単なる「やさしさ」ではありません。違いを認め合いながら、共に生きていこうとする強さです。子どもたちが、そのような力を身につけながら成長していけるよう、ご家庭と学校とが一致して、心を合わせて歩んでいけるよう願っています。

小学部長 𠮷田太郎


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5年生 茨城体験学習 

5年生 茨城体験学習 

5年生 茨城体験学習 

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