小学部だより

小学部だより 2024年11月号

小学部だより

〜共感すること、違和感を受容すること〜


ファリサイ派の人々が、神の国はいつ来るのかと尋ねたので、イエスは答えて言われた。「神の国は、見える形では来ない。『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ。」

(ルカによる福音書17章20〜21節)


ごうごうと たたきつけてきた。それは『あめ』というより、おそいかかる みずの つぶたちだ。あれくるった よるの あらしは、その つぶたちを、ちっぽけな ヤギのからだに、みぎから ひだりから、ちからまかせに ぶつけてくる。しろい ヤギは、やっとの おもいで おかを すべりおり、こわれかけた ちいさな こやに もぐりこんだ。

これは絵本、『あらしのよるに』(きむらゆういち 作 あべ弘士 絵)の冒頭、書き出しのページです。

 

 轟々と叩きつけるような嵐の夜に、羊の「メイ」と狼の「ガブ」の二頭が真っ暗な小屋の中で雨宿りをします。草食動物と肉食動物、喰われるものと襲うもの、普段は決して交わることのない羊と狼が「あらしのよるに」偶然にも同じ小屋に居合わせてしまいました。大嵐の中、何も見えない不安な状況において、初対面の二頭は真っ暗な小屋の中で文字通り、手探りで互いのことを確認し合います。まずは居住地から。狼が住むのは「バクバク谷」で羊は「サワサワ山」と離れていました。しかし、お互い美味しい食べ物があるのは「フカフカ谷」という共通項で盛り上がります。美味しい青草を食べにやってきた羊を狼が襲って食べる場所なので、どちらにとっても「フカフカ谷」は美味しいモノにありつける場所。というシュールなオチ。二頭は子ども時代に食が細く、痩せっぽっちだったということや、雷の音が苦手という共通項を見つけ、あっという間に意気投合していきます。似ているところがたくさんあるから、僕たち気が合うね、友達だね。ということで「あらしのよるに」出会った二頭はお互いの姿を見ないまま、翌日に会う約束をして別れる。というのがこの絵本、シリーズ一巻のあらすじです。

 この『あらしのよるに』が秀逸なのは、この翌日以降の展開にあります。約束通り、翌日に対面した二頭は昨夜の真っ暗な小屋の中で意気投合して友達になったのは羊と狼であったという衝撃の事実を知ることになります。多くの共通項から互いに共感し合った相手は、全く異質な存在でした。国籍や肌の色どころではなく、種族そのものが違い、喰う者、喰われる者という違いを乗り越える二頭の友情が物語として描かれていきます。

 私たちはいわゆる「共感」というマッチング機能によって、仲間意識を醸成していく生き物です。同じクラス、同じ学校、共通の趣味や友人、マッチングの項目は数多あり、多ければ多いほど仲良しになれる気がするものです。しかし、本当に大事なことは、共感のあとの違和感、違いをどのように受け入れ、乗り越えることができるかにあるのではないでしょうか。考え方や食事の嗜好、習慣や文化、宗教など、様々な違和感を覚えながら進んでいくこと。「共感」の先にある「違和感」を受容することが、分断の世界にある私たち人類にとって、今、最も重要な課題なのではないかと感じます。「狼は小羊と共に宿り、豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に育ち、小さい子どもがそれを導く。」(イザヤ書11章6節)にあるような世界。すなわち神の国とは、私たち一人ひとりが共感の先にある違和感を受容することによってこそ実現するのかも知れません。

 

小学部長 𠮷田太郎

 


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5年生 稲刈り

気持ち良い空の下で作業しました

球技会1年生

球技会6年生

秋の遠足1・2年生上野動物園

秋の遠足3・4年生日和田山

宮脇花綸さん来校

心に響くお話をして頂きました。

2年生おいもほり

6年生ミニミニコンサート

歌声がとても素敵でした。

5年生家庭科