小学部だより

小学部だより 2024年12月号

小学部だより

〜今、考えていること〜



「あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする。」

(ヨハネによる福音書8章32節)

What kind of American are you? 「お前はどの種類のアメリカ人だ?」
これは映画『CIVIL WAR』(邦題:シビル・ウォー アメリカ最後の日)の中でジェシー・プレモンス演じる兵士が放った一言です。この台詞を劇場で聞いた時、背筋の凍るような感覚を覚えました。正直、非常に恐ろしかった。奇しくも米国大統領選の当日の朝。吉祥寺の映画館で一人、久しぶりの映画鑑賞での感想です。

3期目を強引にスタートしたアメリカ大統領の独裁政治に19の州が独立。もしアメリカが分断され、内戦が起きたら?というディストピアを描いた作品、『CIVIL WAR』はフィクションでありながら、現代社会を映し出すような没入感で観客を作品の世界に引き込み、体感させる傑作として、日本でも大きな話題となりました。英国人監督アレックス・ガーランドは、あるインタビューのなかでこう話しました。「1990年代にはドナルド・トランプのような人物が大統領に選出されることは不可能だったでしょう。彼が大統領になれない理由を50は挙げられます。それくらいあり得なかった。でも彼は大統領に選出された。なぜか?それはどんな意味をもつのか?それをテーマに映画をつくろうと考えました。」

何が正義で何が悪なのか?何が正解か間違いか?映画はその回答を提示しないまま終わります。エンディングロールが終わっても、しばらく誰一人動けない、そんな体験となりました。

日本でも都知事選挙での候補者乱立や、政治とカネの問題が争点となった衆議院議員選挙による政治情勢の変化。後味の悪い兵庫県知事選挙での騒動など、政策を訴えて真を問う、というよりも節操の無い誹謗中傷合戦が繰り広げられました。米国大統領選挙においても4年前の州議事堂襲撃事件が記憶に残る中、今回もフェイクニュースが流布されたり、銃撃事件が起きたりと散々な有様でした。ウクライナやロシア、ガザでの虐殺など暴力による領土拡大がまかり通り、民主主義の根本である選挙が歪められるなど、分断は深刻化する一方です。遠い世界のことではなく、私たちの国の未来も危ぶまれています。

冒頭のWhat kind of American are you?とは、お前は愛国的であるか?アメリカ的であるか?という兵士からの質問ですが、そこに正しい答えはなく、ただその兵士にとって、その回答が気にいるかどうかで生死が分かれるというシーンでした。そこに理性や論理的な思考は入る余地がなく、ただ一方的な感情論で暴力が行使されるのでした。

現代の私たちはインターネットやSNSの情報に大きな影響を受けています。ググれば(検索エンジンで調べれば)何でもわかったような気になるのですが、本当のことは、そう簡単には分からないものです。教科書だけでは学べないことを学ぶのが学校であり、教育です。子どもたちには自分の頭で考えることのできる人になってもらいたい。そのためには効率的ではなく教育的であることを大切にしたいと思っています。

 

小学部長 𠮷田太郎

 


小学部の様子をご覧ください

創立140周年記念式典

2年生・生活科 やきいも

用務さんが準備をして下さいました。

美味しく頂きました!

とても甘くほかほか!

3年生 味かくの授業

様々な味かくを確かめました

お母さま方の小さいかご活動

5年生 炊飯実習

お米詰め作業(母の会) ボランティアの皆さま

茨城産英和米

給食にも提供!