小学部だより

小学部だより 2024年2月号

小学部だより

〜Diversity, Equity & Inclusion〜


「あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。(ローマの信徒へ手紙12章2節)

 先日、岩手県奥州市からお米が届きました。スーパーの食料品棚から一斉に米が姿を消した昨秋の米不足の際にも、我が家には定期便でお米が届いていました。昨年から始めた「ふるさと納税」の返礼品です。これまで「ふるさと納税」の存在は知りつつも、自分の暮らす自治体のサービス低下をもたらしかねないこの仕組みを利用することに、いささかの後ろめたさと抵抗感のようなものがあったのですが、誘惑に負け、主義を曲げ、自分の利益を優先して申し込んでいたことが功を奏したわけです。

 美味しい東北のコシヒカリを食べながら、我が家の食卓で大学生と高校生の娘に「お米は美味しいのだけど、自分たちだけが得しているみたいで、ちょっと後ろめたいんだよなぁ…」と呟いてみました。娘たちの反応は「でも、そういう仕組みがあるんだから利用しない手はないよ。」「今までどうしてやらなかったの?」というものでした。私は「でも、こういう仕組みをうまくアピールできる自治体はどんどん税収が増えて住民サービスが良くなっていくけど、出遅れた自治体や、そもそも格差社会を助長することにつながるという点でいかがなものかって思っちゃうんだよね。」と。そしてこうも続けました。「社会の中で弱くされている人の事も考えてみないとさぁ…」というように視点を変えさせようとした直後、「それって努力しなかった結果じゃん!」という言葉が。ああ、ここにも所謂「新自由主義」が浸透しているのかと愕然としました。同じような質問を聖書の授業で問いかけた時にもやはり「努力した人が、努力しなかった人の分を補わなきゃいけないというのはちょっと……。」という反応が返ってきました。綺麗事ではなく、それが毎日、長年にわたり、努力を求められ、頑張ってきた子どもたちの偽らざる本音なのかも知れません。

 さて、1月21日、アメリカでは大統領就任式が執り行われました。当日ワシントンで行われた「国民のための祈りの礼拝」(A Service of Prayer for The Nation)の中で、米国聖公会ワシントン教区のMarian Edgar Budde主教が行った説教が心に残りました。トランプ氏は「ジェンダーは男と女に限る」「WHOからの脱退」「パリ協定からの離脱」「強硬な移民政策」など、時代を逆行するかのような大統領令を次々と発し、分断を煽るかのような言動を続けています。多様性や公正そして包摂という概念を軽んじるようなトランプ氏に対して、バディ主教はまるで大人がいじめっ子を諭すかのように“I ask you to have mercy, Mr. President”「どうか慈愛の心を持ってください」と語りかけました。そして分断されたアメリカと世界のすべての人々にとってのUnity(一致)を祈り、説教を終えたのでした。礼拝の後、トランプ氏はバディ主教の説教や礼拝そのものを酷く貶し、謝罪を求めましたが、当然主教は応じるはずがありません。なぜなら、バディ主教は彼女からの言葉ではなく、聖書にあるイエス・キリストの語られる言葉としてメッセージしたからです。これはまさに命がけの説教でした。「憐れみ深い人々は幸いである」という山上で語られたイエスさまのみ言葉を心に覚えたいと思います。

 

小学部長 𠮷田太郎

 


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