小学部だより

小学部だより 2024年3月号

小学部だより

〜共感する心を育む

「スクール・セラピードッグ」について〜


「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい

(ローマの信徒へ手紙12章15節)

80年代、私が通っていた京都の公立小学校には裏庭に比較的大きな飼育小屋があり、ウサギやニワトリのお世話をする「飼育当番」がありました。当時、お世話をする時間に担当の先生がいたかどうかの記憶すら定かではありませんが、とにかくお腹を空かせたニワトリはアグレッシブで、ウサギは冬の寒い日は土の中でうずくまり、子どもと触れ合って楽しむような余裕はなく、臭い、汚い、突かれて怖い!という印象しかありません。私と同世代の人は同じような経験をお持ちではないでしょうか。

そして、2000年代に入ると動物愛護の観点から、学校での飼育動物についての配慮、改善が求められるようになりました。主な問題点としては劣悪な飼育環境、飼育経験の乏しい教員による管理、疾病や事故などの医療費負担、長期休み中の世話、ウサギの繁殖管理の難しさ、鳥類飼育は鳥インフルエンザ問題などにより、飼育小屋の撤去が相次ぎました。名前もつけてもらっていない学校飼育動物たちも少なくありませんでした。このような現状に対して、獣医師会を中心に学校飼育動物についての問題意識が共有され、飼育小屋ではなく教室でハムスターやモルモット、ウサギなどの小動物を少ない頭数で飼育する「クラスルームペット」という取り組みが提唱されたのもこの時期からでした。しかしながら、齧歯類の場合には稀に深刻なアナフィラキシーショックをもたらす動物アレルギーの問題があり、この取り組みも一般化するのは容易ではありませんでした。特に都市部においては家庭でも学校でも動物を飼うことは容易ではなくなっていきました。

そうした中で、動物に触れないままに大人になってしまうことが多くなってしまうと、子どもに対しても、動物との触れ合いを通して育つ生命の仕組みや、自然との関わり方を学ぶ、学ばせ方がわからない親や教師が増えているという指摘もあります。

 

「アニマル・セラピー」という言葉が日本で広く知られるようになってからおよそ30年。動物には周りの人々の関係を修復したり、構築したりする力があります。人の心を安らかにし、開かせることができると考えられています。この不思議な力を使って、医療施設やリハビリ施設でペットを活用した治療が行われています。最近では老人ホームや小児病棟などへのイヌの訪問活動もようやく認知されるようになってきました。

「学校に犬がいたらいいのになぁ」今から20年前に私が出会った一人の児童のつぶやきから始まったイヌを用いた教育プログラム『動物介在教育』(Animal Assisted Education)の取り組みは、日本国内だけでなく、韓国やドイツ、スペインなどでもテレビやラジオで紹介され、オーストラリアのある学校では現在もとても素敵に実践が続いています。私はコロナ禍を経て、小学部の子どもたちの教育に対して、これまで以上に「本物に触れる教育」「体験の価値」というものに重要性を感じています。様々な行事や体験学習、国際交流といったプログラムに加えて、子どもたちの意欲や共感する心を育むための取り組みの一つとして「スクール・セラピードッグ」を2025年4月から取り入れたいと考えています。期待される教育的効果に対して、懸念されることとして動物アレルギーの問題があります。対策として、アレルギーフレンドリーな犬種として作出された「オーストラリアン・ラブラドゥードゥル」を選びました。同時にアレルゲンとなる皮脂(フケ)が出ないように管理しなければなりません。アレルギーのある人は無理に近づかないこと。触ったら、しっかりと水で手を洗うこと、動物との付き合い方など留意すべきことがあります。このあたりは20年間の経験を活かしつつ、東洋英和の小学部にあったスタイルで、実践していきたいと考えています。どうぞご理解とご協力を頂けますと嬉しいです。

 

小学部長 𠮷田太郎

 


小学部の様子をご覧ください

6年生 日本カーリング選手権観戦(横浜BUNTAI)

小さいかご活動

1年生 手と口で描く芸術協会によるご協力

実際に自分たちで体験をしました。

2年生 アイメイト協会によるご協力


親子討論会

6年生と保護者

2年生 メープル郵便局

お届けにクラスを回りました。

4年生 茨城宿泊体験学習


港区立麻布図書館 4年生のPOPが3月18日まで展示されています。

梅の花が咲きました。白と赤の花が綺麗です。