小学部だより

小学部だより 2025年6月号
小学部だより
〜心の幸福〜
「心の貧しい人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである。」(マタイによる福音書5章3節)
先日、ユニセフ(国連児童基金)から5年ぶりに「子どもの幸福度指数」に関する国際比較の報告が発表されました。これはOECD(経済協力開発機構)やEU(ヨーロッパ連合)の加盟国を対象に、さまざまなデータをもとに子どもの幸福度について統計をまとめたものです。この調査によると、日本の子どもの幸福度は前回調査から6つ順位を上げて36か国中14位となっていました。しかし、詳細な内訳を見ると、日本社会が抱える課題が浮き彫りになっています。「身体的健康」では日本は1位という高い評価を受けているにも関わらず、「精神的幸福度」の分野では、日本は32位と非常に低い順位にとどまっています。これは生活にある程度満足している一方で、15~19歳の自殺率は先進国で最も高いということが主な要因として挙げられます。つまり、日本の子どもたちは身体的には健康で、学力の面でも国際的に高い水準にありますが、心の健康や人間関係の面では課題を抱えているという現状が示されているといえます。私たちは、この現実をどう受け止め、子どもたちと向き合っていけば良いのでしょうか。
神さまは、一人ひとりの子どもたちをかけがえのない存在として創造されました。子どもたちは、その存在自体が神さまの恵みの中にあり、光を放つ大切な存在です。学力や結果、他者との比較によって子どもたちの価値が決まるのではなく、その子が「その子らしく」生きていること自体に、神さまの意思と愛があります。しかし、日本の社会や教育現場では、どうしても学力や成果、競争の中での優劣に目が向きがちで、子どもたち自身も「もっとできなければ」「これではだめだ」という思いにとらわれやすくなっています。その結果として、「自分は価値がないのでは」「私には居場所がないのでは」と感じ、心を閉ざしてしまう子どもたちが増えているのではないかと感じます。
一方、幸福度が高いとされる北欧諸国、特にオランダやデンマーク、ノルウェーなどの国々では、学力や成績の高さよりも「自分の意見を表現する力」や「人と協力する力」、そして「他者を思いやる心」を大切にする教育が根付いています。子どもたちは「自分の声を大切にしていい」「自分は愛され、尊重されている」という安心感の中で成長していくことができます。この違いが、精神的な幸福度の差にも表れているのだと感じます。
もちろん、北欧型の教育をそのまま日本に取り入れることは簡単ではありません。しかし、私たちには聖書の言葉があります。イエスさまは弟子たちに次のように語られました。
『わたしの目にあなたは値高く、貴く わたしはあなたを愛している。』(イザヤ書43章4節
私たちは、神さまから無条件に愛される存在として、子どもたちにも「そのままのあなたが大切だよ。」というメッセージを日々届けていく必要があります。子どもたちは皆、それぞれ異なる個性やペースを持っています。ある子は学習に力を発揮し、ある子は友達と協力する中で輝き、またある子は静かに思索を深めています。その多様性を認め、支え合う温かな関係を築くことが、子どもたちの心の健康、そして真の幸福感を育むために大切なことだと信じます。
それぞれのご家庭でも、そして学校でも、子どもたちが「自分は愛されている」「大切にされている」と感じられるような声かけや関わりを大切にしたいと思います。学力や結果に一喜一憂するのではなく、子どもたちが努力している過程、挑戦しようとする姿そのものを喜び、励まし合えますように。
小学部長 𠮷田太郎
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1年生 春の遠足

6年生 春の遠足

5年生 茨城体験学習

1、2年生による学校探検

運動会準備(装飾係)

4年生 水道キャラバン
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