小学部だより

小学部だより 2025年12月号

小学部だより

〜ヴォーリズの愛した近江八幡


何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。(マタイによる福音書6章33節)

6年生の修学旅行は滋賀、京都、奈良、関西への3泊4日の旅でした。琵琶湖の辺りにある「琵琶湖ホテル」へ宿泊し、ホテルでのフレンチやイタリアンといったディナー、琵琶湖のクルーズ船ミシガンでのディナーショー。ランチには近江牛や京都四条河原町にあります東華菜館で中華のコースを頂きました。美しい秋の紅葉シーズンの古都、京都北山会館での茶道や京友禅などの体験、彦根城や二条城、東大寺といった国宝の数々をめぐる旅は大人でも十分に満足できる旅行プランでした。

そんな関西への修学旅行は、そもそも何故ゆえに滋賀をベースに計画されたのか。英和に奉職させていただいた当初、京都出身の私は内心、「なんで東京の小学生がわざわざ滋賀県なん?」「琵琶湖しかないやん!?」なんて至極失礼な感想を持ったものでした。先輩の先生方から、滋賀県をメインとした理由を伺って納得。前部長の山本香織先生の慧眼に感謝です。それは英和の関係者にとっては言わずもがなウィリアムズ・メレル・ヴォーリズ(1880―1964)の愛した近江八幡のまちを訪ねるため、ということが主な旅の目的だったのです。

明治のはじめ、カートメル先生をはじめ多くの宣教師たちが、日本にキリスト教を伝えるために海を渡りました。鎖国が終わったばかりであり、江戸から明治へと政権が交代した混乱の時代。キリスト教はまだ公には禁止されているようなそんな日本での宣教は文字通り命懸けの仕事であったことは想像に難くありません。東洋英和を含め、ミッションスクールの草創期を支えた宣教師たちの勇敢さを心に留めたいと思います。

勇敢な宣教師。ヴォーリズもその一人でした。そしてヴォーリズこそが数多くの宣教師の中で、最も宣教に成功した宣教師であったと言われています。彼はアメリカのカンザスで生まれ、大学では工学を学びます。ところが途中で哲学科へ転向し、キリスト教の宣教を志します。その後、宣教師として日本の近江、滋賀県立商業高校で英語教師として働きながら、キリスト教の布教を行うのですが、保守的な地域での熱心な布教活動が不評を買い、2年で英語教師の職を辞することになりました。苦難と挫折の中で、彼はヴォーリズ学園として幼稚園、中学、高校として今も愛される近江兄弟社を設立します。また、結核患者のための療養施設(現ヴォーリズ記念病院)を運営し、メンターム(メンソレータム)を広く普及させる製薬会社を経営するなど、実業家としての側面と1400棟以上の建築物を残した建築家としての功績が高く評価されています。

4日目にランチをいただいた東華菜館(1926年竣工、現存する最古のエレベーターが有名なヴォーリズ建築)の支配人である于修海さんはそんなヴォーリズを評して「スーパーマンみたいな人」と仰っていました。また、最終日に訪れた京都御幸町教会(1913年、現存する最古のヴォーリズによる教会建築)の村島義也牧師は『建築物の品格は人間の人格の如く、その外観よりもむしろ内面にある』というヴォーリズの言葉を紹介され、実際に京都御幸町教会に残る設計の中で日本人を愛し、大切にしたからこそ生まれた工夫について説明してくださいました。見た目の美しさよりも、中身が大切であること。神の器として生きたヴォーリズから敬神奉仕について感じ、学ぶ4日間となりました。感謝を持ってご報告させていただきます。

 

小学部長 𠮷田太郎


小学部の様子をご覧ください

創立記念日礼拝

どこでもランチ

フィリピン大使館訪問(文化研究クラブ)

修学旅行(近江八幡 水郷巡り)

修学旅行(京都 銀閣寺)

3年生 味覚の授業

ビブリオバトル