小学部だより
小学部だより 2026年5月号
小学部だより
〜愛という結びの帯をもって〜
キリストの言葉があなたがたの内に豊かに宿るようにしなさい。
(コロサイの信徒への手紙3:15)
風薫る五月を迎えます。2026年度が始まってひと月、子どもたちは新しい学級や先生、友だちとの関わりの中で、一歩ずつ歩みを重ねています。若葉が光を受けて伸びていくこの季節は、子どもたちの成長の姿とも重なり、心新たに教育の使命を思わされます。
今月、心に留めたい聖書の言葉は、新約聖書コロサイの信徒への手紙第3章14節に記された、『これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。』という御言葉です。この聖句、口語訳聖書では『愛は、すべてを完全に結ぶ帯である』と訳されています。絆と帯、どちらも英語訳聖書ではBindとなるでしょうか。
この手紙は、使徒パウロが獄中にあって記したものと伝えられています。不自由の中にありながら、なお彼がコリントの人々のために語った言葉は、恐れではなく希望であり、分断ではなく和解であり、支配ではなく愛でした。そのことは、混迷する現代を生きる私たちに、深い示唆を与えてくれます。
パウロは「上にあるものを求めなさい」と勧めます。それは現実から離れることではなく、目の前の出来事を、より高い価値から見つめ直すことを意味しています。競争や効率、成果が優先されやすい時代にあって、私たちはともすると、子どもを評価や結果で見てしまいがちです。しかし教育とは、本来、その子が神から与えられた愛された存在、尊い存在であることを見いだし、その可能性を信じて育む営みであるはずです。
そしてパウロは『古い人をその行いと共に脱ぎ捨て、造り主の姿に倣う新しい人を身に着け、日々新たにされて、真の知識に達するのです。』と語ります。「古い人を脱ぎ、新しい人を着なさい」とは、比較や焦り、排除や対立ではなく、尊重し合い、赦し合い、支え合う生き方への招きであります。
この勧めは、キリスト教主義学校の大切にする平和教育とも深く響き合っています。
平和とは、単に争いがない状態ではありません。異なる他者と共に生きることを学び、違いを恐れではなく豊かさとして受けとめる力を育むことです。相手の尊厳を重んじ、対話をあきらめず、暴力によらず関係を築こうとする態度です。
東洋英和が大切にしてきた平和教育も、まさにそこに根ざしています。平和は、遠い国際情勢だけに関わる課題ではなく、日々の教室で、家庭で、友だちとの関わりの中で育まれるものです。人の痛みに想像力を向けること。小さな不正やいじめを見過ごさないこと。互いの違いを尊び合うこと。その一つひとつが、平和をつくる力になります。
主イエスは「平和を実現する人々は幸いである」と語られました。平和は願うだけでなく、実現するもの、つくり出していくものなのです。そしてその土台にあるのが、パウロの語る「愛という結びの帯」なのだと思います。
家庭もまた、子どもにとって最初の平和の学びの場です。失敗を責める前に耳を傾けること、結果より歩みを認めること、感謝を言葉にすること。そのような日々の小さな営みの中で、子どもたちは、人を信じること、自分を大切にすること、そして他者と共に生きることを学んでいきます。
五月は、生命の躍動に満ちた季節です。この時期、子どもたちが知識だけでなく、愛すること、平和をつくることを学ぶ者として育ってほしいと願っています。
「神さまのために 人のために」という小学部の大切にしてきた教育理念は、まさにその歩みを指し示しています。ご家庭と学校とが、愛によって結ばれ、平和を育む共同体として、共に子どもたちを支えていくことができますように。そんな祈りをもって、五月の歩みを始めたいと思っています。
小学部長 𠮷田太郎
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